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 あやまろ工房

『絵のない日記』〜そら猫通信

しのぶべき人もなき身はある時にあはれあはれと言いやおかまし  和泉式部

2017年01月10日

近い声 遠い声


年始の顔見せに来たきりちゃん(左)と源次郎くん(右)

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野生鳩の寿命は3〜5年だという
お互いいけるとこまでいこうな、と心の中で呼びかける
が、人はしんみりしても鳩はどこ吹く風 
そういうあなたたちがすきなのよ


かれらにも元日させん鳩すゞめ   一茶



というわけで、禁断としていたがパンのかけらをちょっと置いてみた。
かれらはいつものようにめだか水槽の水だけ飲んで、あたりをながめ回した後飛び去った。パンはそのまま残って固くなっていた。
なんだか二羽共に躾のしっかりした良家出身のお行儀の良い鳩に思えてくるから可笑しい。


※ ※

今は昔、友人の弟が京都の大学へ行って京都暮らしで覚えたことの一つが、寝る前に鍋に昆布と水を入れて夜のうちにだしをとっておき、朝はそれで味噌汁を作ること、といっていた。

生まれ育った土地の食文化の違いで、それをきいたとき、なんとなく優雅に感じた。
ウチの田舎ではお椀の底から煮干の目がこちらを見ていた。

そういえば鰹節をごりごり削っていて指も削った。
本体が大きいうちはシュッシュッと心地よい音をたててきれいな削り片が出来ていくのが楽しいのだけれど、小さくなってくると用心していても何度も指からポロッと外れるしサクッといったのは指先であった、とか楽しいのと怖いのと一緒くたのお手伝いだった。


わざわざだしをとるのは面倒だと、手軽で便利このうえないし、無添加食塩抜きをせめてものこだわりとして顆粒だしを使ってきた。

出し昆布で佃煮を作ろう!という記事に目を留め、このごろのお気に入りの“わさびこんぶ”を作ってみよう🎶 と思い立ち、ちょうど使いやすそうな刻み昆布が手に入ったので、まずだし汁をとった。

これで味噌汁を作ると、ああ、やっぱりおいしいね。まろやかで。
100円ショップで、ずっと探していた小さな味噌漉し網を見つけたので味噌を溶くのが楽になり、インスタント味噌汁とはすっかり縁がなくなった。


出し殻となった昆布は冷凍しておいて、ほどほどに溜まってきたところで佃煮作りにとりかかった。

1.5mm幅の細切りが理想だが、ぬめりがあって料理バサミが滑るので思い通りにはいかない。食べられればいいんじゃない?とだんだん適当な形のが混ざってゆく。

ラジオを聞きながらストーブの前に座り込んで、広がりきった刻み昆布をひとつひとつ手にとっては、途中で飽きてため息をついたりラジオに笑ったりしながら作業をしていたら、むささびのハッチャンのことを思い出した。


※ ※ ※ ※

むささびのハッチャンは、小さな毛の玉みたいな赤ン坊のとき、春の先触れのあらしの後、橅(ぶな)の木の根元の残雪の上に落ちていたのを、辻まことに保護された。
山の宿のおばさんに引き取られ、薄めたコンデンスミルクを古い万年筆に使っていたスポイトで飲ませてもらい、一人前のムササビに育てられた。

秋の夜には、囲炉裏のそばでハッチャンは虫食いの栗の実を取り除く作業をする。掌でつかんだだけでくさった実をポイと捨てる。一つさがすと南京豆を一粒もらう。
辻まこととおばさんが議論しているうち口喧嘩みたいになってくると、ハッチャンは仕事の手を休めて、辻まことにむかって歯をむき出しおばさんに加勢する。


 夜が更けると、森からキチキチとなくムササビの声がする。するとハッチャンはまた仕事をやめて耳を澄ます。さアさア━━とおばさんが栗の実を渡す。ハッチャンはわれにかえってせっせと作業をはじめる。
『ムササビ』 辻まこと「山からの絵本」より


※ ※ ※ ※


わさびこんぶ佃煮は、てきとうに水と酒と酢でやわらかくなるまで煮てから、てきとうに醤油とみりんと砂糖をぶち込んで煮詰め、仕上げにてきとうにチューブのわさびを混ぜて完成した。
白いご飯があるとうれしくなる味になった。

正直面倒くさいが、昆布のすべてをいただきました!というちょっと満ち足りた気分になる。
これは、これからもラジオを聞きながらこんぶを切るハッチャンになってもいいと思った。




posted by そら猫@あやまろ工房 at 18:56| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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