昨日は渋谷のBunkamura ORCHARD HALL(〜文化村果樹園会館だね)へ行って、楽しみにしていた準・メルクル指揮N響の「ニーベルングの指輪」抜粋・メルクル版を聴いてきた。
近頃はmedici.tvやarte.tvで彼の率いるドイツ・フランス両オーケストラの公演動画が配信され、パソコンの前で大ニコニコしている。
カメラワークがそれぞれあって、それも面白い。
ドイツのほうはなにしろ中央ドイツ放送局(MDR)のオーケストラだから、ネットラジオでコンサートが必ず聴けるほどなので、ファンとしてはいい所へ就任してくれましたとほくそえんでいる。
脂が乗ってきましたなぁという演奏を立て続けに聴けて、嬉しい限り。
「指輪」のメルクル版は、2007年5月にフランスのリヨン管を率いてリヨンとパリでワーグナー・プロを演奏したのを、どちらだったか忘れたが(資料のデータはこの間のパソコン騒動で消えちまった

)ラジオ・フランスが放送したので、冒頭を録音失敗したものの「イゾルデの愛の死」と「ニーベルングの指輪・メルクル版」はしっかり録れていたのでCDにしておいた、それで馴染んでいる。
新国立劇場での「ニーベルングの指輪」4部作上演が進行中のインタビューで、この楽劇は何を語ろうとしているのか問われ、『愛の物語です』と一言で答えていた準・メルクルのコンセプトで編まれた「指輪・抜粋版」だ。
ところで、リヨン管では去年着任した総監督がオーケストラのプログラム編成や組織人事を引っ掻き回している。越権行為もいい加減にしろ!契約違反だ!と音楽監督(メルクルさんのこと)が怒った。リヨン市長への公開メールまで発表し、そうとうに怒っている。
この総監督、音楽監督の頭越しにイギリスの学者だかに来シーズンのプログラム編成を頼んで、あろうことか音楽監督が日本に行って不在の間に(今回の来日期間中だろう)発表しようと目論んでいたのだが結局旨いことゆかず延期になったとかで、いまだに来シーズンのプログラムが発表されていない模様。地元誌にはアマチュア仕事もいいところだと非難されている。
あ〜ぁ、だから大人しそうな人を怒らせると怖いってのに。
と、リヨンのお家騒動では暗雲垂れ込めていて大変だけどどうだろうと少々懸念していたが、メルクルさんはいつものようににこやかに登場して、いつものように自由自在ダイナミックで切れのよい演奏で、よかったよかった。タフだ。
オーチャードホールの1階後ろから2列目で2階の座席が天井となって張り出している席だったせいか、もとよりホールの特性なのかは知らないが、各パートの音がまっすぐに伸びてゆかず無秩序に混ざりあって聞こえてしまうのは残念なホールだ。いつもはけなすだだっ広いNHKホールのほうが会場としては案外ふさわしかったかしらなどとチラと思ったりした。
ともあれ、わが頭のなかで新国立劇場での記憶とリヨン管の演奏を同時に再現させながら、ほぉーとか、おおっとか、ありゃ?とか、う〜むとか、わぉっとか思いながら久々のコンサートを楽しんできた。
が・・・
※それは後でぶちまける。
家に帰っては、さっそく自家製CDを聴きながら、コンサートを思い出してなぞったのは言うまでもない。私は生演奏至上派ではないので、いろんな手段をもって一粒で何度もおいしい思いをするのが好きなのだ。ここはえらいゆっくりだったな〜ここはちょっと変えていたな〜とか、メルクルさんかっこよかったな〜 とかとか。
N響も熱演だった、が、まぁ、金管の弱さというのはなんとかならないものかな。よたよたっとして安心して聴けないとはどういうことでしょう。
比べて云々はあまり好まないが、たまたま同じ抜粋版をリヨン管ので聴き馴染んでいてそちらは堂々見事なものだから、N響何故出来ないか?と一言だけぼやいておく。
※のこと
で、いよいよ終幕、ブリュンヒルデの気高い自己犠牲で世界は燃え上がり、ライン川に乙女たちが指輪を持ち帰ると、指輪の呪いは消えて新しい時代が始まる─
浄化された清清しい最終音が静寂へと消えてゆくその余韻に浸り、深く息をついてから現実へ戻ろうとした、のに!!
私がふっと息をつこうとした刹那、隣のがさつな男がでっかい手を前に突き出しバッカンバッカン叩きながら、蛮声というべき品のない声でブラボーォォ、だって。

余韻台無し。
なんであと5秒、いやせめて3秒でもいい、待てないのか! こういうブラボー連中は、無音恐怖症なのか?
静けさの中で己が心の中に音楽を深く沁みこませるということが出来ないのか。
ああそうだよそうだよと共感できる相応しいブラボーも勿論あるのだが、昨日のはぶちこわしてくれやがりました。
この男、席に入ってくるときアタッシェケースをごっつんごっつん椅子にぶつけドリンクの瓶だかをがちゃがちゃさせ、坐ったかと思うとまた席を立ち、ゴッツンガチャガチャうろうろ、並びの人もなんだろぅと見上げていた。前半のモーツァルトのピアノコンチェルトでは顎を胸に埋めて眠っていた。
生演奏を聞きながら眠るなんてのはある意味法悦のごときことなので、いびきをかかない限り、咎めもしないしそれはお好きになんだけど。
ところが後半の「指輪」開始で登場したマエストロ・メルクルが指揮台に上がるや、手を前に突き出しひときわでっかく拍手したので、おろ?マエストロのファンなの?とちとびっくりさせられていたのだ。
そういえばサントリーホールで見た、え?あなたもファンなの?は、フランクの交響曲だったか、左の並びに演奏が終わっても拍手をしない男性がいて、気に入らなかったのかなと目の端でみていたら、マエストロ・メルクルが向きを変えてステージ側面のこちらの客席にもにこやかに挨拶をしたら、胸の高さに手を上げてせわしなく拍手を始めた。
マエストロがあちらに挨拶、男、手を膝に。
マエストロこちらを向く、男、胸の位置で熱烈拍手パチパチ開始。
マエストロあちらを向く、男、手を膝に。
こっち向く、即座にパチパチパチ。この繰り返し。
な〜に考えてるんでしょう。
ま、ファンもいろいろ。
ブリュンヒルデじゃないもん
ポニョだもん!
「崖の上のポニョ」より